ロール生地の重量を自動計算。繊維業界の重量管理を省力化

台秤でロール生地を計量し、タッチパネルで正味重量の自動計算結果を確認する作業者

染色加工では、染色機へ投入する生地の重量に応じて染料などの使用量を決定します。そのため、加工する生地の正確な重量を把握することは、品質を安定させるうえで欠かせません。
しかし、生地は紙管や塩ビ管を芯にしてロール状で納入されます。複数のロールをつなぎ合わせて加工する場合には、測定した総重量から芯の重量や、別のロットで使用した生地の重量などを差し引く必要があります。
T-SmartArunでは、台秤と入力用コンピューター、タッチパネルを連携させ、測定値と各種差引重量を管理し、加工ロットの正味重量を自動計算するシステムを構築しています。

この事例のポイント

  • 台秤で測定した重量をシステムへ自動取得
  • 紙管や塩ビ管などの重量を自動で差し引き
  • 途中使用などによる差引重量にも対応
  • 複数ロールの正味重量とロット合計を自動計算
  • 計算結果を印刷し、既存システムへ自動送信
  • 電卓計算と繰り返し確認を減らし、計算ミスを防止

改善前の課題

染色加工では、染色機へ投入する生地の重量を基準にして染料などの使用量を決定します。重量が正しく計算されていなければ、染料の投入量にも影響し、品質不良につながる可能性があります。
しかし、繊維業界で扱うロール生地の重量計算には、一般的な計量作業とは異なる複雑さがあります。

ロールの芯重量や、途中使用された生地重量を差し引く必要がある

生地は紙管や塩ビ管を芯にしてロール状で納入されます。台秤で測定される重量には生地だけでなく芯の重量も含まれるため、ロール全体の重量から芯重量を差し引いて正味重量を求めなければなりません。また、1本のロールを途中で切り、残りを別の加工ロットで使用する場合もあります。そのため、単純にロール全体の重量を合計するだけではなく、使用した量や残った量などの差引重量を考慮する必要があります。

合計重量を電卓で都度計算

1つの加工ロットでは、10本から20本ほどのロール生地をつなぎ合わせることがあります。作業者は各ロールの総重量、芯重量、途中使用による差引重量を記録し、電卓を使って一本ずつ正味重量を計算していました。

繰り返し確認が大きな負担に

一般的な台秤には合計重量を計算する機能がありますが、芯重量や途中使用分を含む繊維業界特有の計算には対応しにくく、最終的には作業者による手計算が必要でした。
計算ミスを防ぐために何度も計算し直して確認する必要があり、1日に100ロット以上を加工する工場では、計量と計算にかかる労力が非常に大きくなっていました。

❝ 正確な重量を求めるために、作業者が10~20本分の測定値と差引重量を、電卓で何度も計算し直していました ❞

多数のロール生地の計量票を見ながら、電卓で正味重量を繰り返し計算する作業者

構築した仕組み

台秤のロードセルと入力用コンピューター、タッチパネルを接続し、測定した重量をシステムへ直接取り込む仕組みを構築しました。
作業者はタッチパネルを使って、ロールごとの芯重量や途中使用による差引重量を登録します。システムが正味重量を自動計算し、加工ロット全体の合計重量まで集計します。

重量計算の流れ

  • ロール生地を台秤へ載せて総重量を測定
  • ロードセルから測定値を入力用コンピューターへ自動取得
  • タッチパネルで紙管・塩ビ管などの芯重量を選択または入力
  • 途中使用などによる差引重量がある場合はタッチパネルから登録
  • 「総重量-芯重量-差引重量」でロールの正味重量を自動計算
  • 10~20本分の正味重量を加工ロット単位で自動集計
  • 最終的なロット合計重量を確定

繊維業界特有の計算をシステムで管理

一般的な台秤の合計機能だけでは対応しにくかった、芯重量や途中使用分の差し引きをタッチパネル上で管理できるようにしました。作業者は測定値を紙へ書き写して電卓で計算する必要がなくなります。

計量結果を印刷・記録

確定した重量はプリンターから計量結果として出力されます。また、測定データと計算結果は既存システムへ自動送信され、加工ロットの記録として保存されます。

  • 台秤・ロードセル
  • 入力用コンピューター(制御装置)
  • タッチパネル
  • プリンター
  • 計量データを記録する既存システム

❝ 作業者が電卓で繰り返していた「総重量-芯重量-差引重量」の計算を、計量と同時にシステムが行います ❞

導入によって得られた効果

計量と計算にかかる時間を削減

台秤で測定した重量がシステムへ直接取り込まれ、芯重量や差引重量を含む正味重量が自動計算されます。作業者が10~20本分の測定値を紙へ書き写し、電卓で一本ずつ計算する作業が不要になりました。

計算ミスによる品質不良を防止

染色機へ投入する生地重量は、染料などの使用量を決める基準になります。手計算を自動計算へ置き換えることで、転記ミスや計算ミスのリスクを減らし、正しい生地重量に基づいた加工を行えるようになりました。

繰り返し確認の負担を軽減

計算結果を何度も電卓で確認する必要がなくなり、作業者の精神的な負担も軽減されました。計量作業の手順が分かりやすくなり、経験の浅い作業者でも同じ方法で重量を求められます。

❝ 正確さを守るために人が何度も確認する作業から、仕組みが正確な計算を支える作業へ変わりました ❞

ロール生地を計量し、タッチパネルで正味重量10kgの自動計算結果を確認する作業者

まとめ

繊維業界の重量管理では、ロール全体の重量を測るだけでなく、紙管や塩ビ管などの芯重量、途中使用による差引重量を考慮する必要があります。複数のロールを組み合わせる加工では、一般的な台秤の合計機能だけで対応することは困難でした。
今回は、台秤と入力用コンピューター、タッチパネルを連携し、測定値の取得から正味重量、加工ロット全体の合計までを自動計算する仕組みを構築しました。計算結果は印刷され、既存システムへも自動的に記録されます。
業界特有の計算方法を仕組みへ組み込むことで、作業時間を削減しながら、計算ミスによる品質不良の防止と作業者の負担軽減を実現しました。

❝ 一般的な設備では対応できない業界特有の作業も、現場の手順に合わせて仕組みをつくることで自動化できます ❞

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