QRコード照合で材料の取り違えを防止。既存システムから始めるポカヨケ

染色工場では、さまざまな染料や薬品を使用します。名称や容器が似ている材料も多く、条件書を確認しながら作業していても、材料を取り違えるリスクを完全になくすことは簡単ではありません。
T-SmartArunでは、既存システムから発行される条件書と、材料容器に貼り付けたQRコードをスキャンして照合する仕組みを構築しました。大がかりなシステムを新たに導入せず、既存の仕組みを活用して始められる材料取り違え防止の事例です。
この事例のポイント
- 条件書と材料容器のQRコードをスキャンして自動照合
- 似た名称や容器による材料の取り違えを防止
- 既存システムを活用し、大がかりな新規導入を避ける
- 小さく始め、現場の意見を取り入れながら段階的に改善
- 作業者による何重もの確認作業を削減
- 運用開始後の材料取り違えミスゼロを実現
- 確認時間と作業者の精神的負担を軽減
改善前の課題
工場では、一つの加工に複数の染料や薬品を使用します。条件書には使用する材料が記載されていますが、似た名称や似た容器の材料も多く、作業者が目視だけで正しい材料を選ぶことには限界がありました。
特に、扱う材料や条件書の数が増えた場合や、複数の作業が重なる時間帯には、経験のある作業者であっても取り違える可能性があります。材料を間違えると、製品品質への影響や手直し作業につながるおそれもあります。
そのため、材料を準備する際には条件書と容器の表示を何度も確認し、必要に応じて別の作業者にも確認を依頼していました。
しかし、確認回数を増やすほど作業時間が長くなり、確認する側・される側の両方に負担がかかります。それでも、人の注意力に頼る仕組みだけでは、取り違えのリスクを完全にはなくせませんでした。
❝ ミスを防ぐために確認を重ねることは、作業者の時間的・精神的な負担に繋がります ❝

構築した仕組み
T-SmartArunでは、これまで使用してきた条件書や既存システムを活かしながら、QRコードスキャナとラベルプリンタを追加して材料を照合する仕組みを構築しました。
条件書から加工に必要な材料情報を読み込み、作業者が材料容器に貼られたQRコードをスキャンします。既存システムが条件書の材料情報と容器の材料情報を照合し、正しい材料かどうかをその場で確認できるようにしました。
材料が異なる場合は作業者がすぐに気づけるため、人の記憶や目視だけに頼らず、取り違えを使用前に防止できます。
QRコード照合の流れ
- 既存システムから加工条件書を発行する
- 条件書のQRコードをスキャンし、対象となる加工情報を読み込む
- 使用する材料容器のQRコードをスキャンする
- 条件書に登録された材料と、容器の材料情報を自動照合する
- 一致していれば確認完了として作業を進めることが出来る
- 一致していなければエラーが発生するため次に進めない仕組み
既存システムから小さく始める
この仕組みの特徴は、すべてを新しいシステムへ置き換えなかったことです。既存システムの条件書や材料情報を活用し、QRコードスキャナとラベルプリンタを組み合わせることで、大がかりな設備投資をせずに運用を開始しました。
最初から多くの機能を盛り込むのではなく、現場で実際に使いながら作業者の意見を取り入れ、使いやすい仕組みへ段階的に改善しています。
❝ 現場が使いこなせる小さな仕組みから始め、必要に応じてステップアップすることがポイントです ❝

導入によって得られた効果
材料の取り違えミスゼロを実現
条件書と材料容器のQRコードをシステムで照合することで、人の目視や記憶だけに頼らず、正しい材料であることを使用前に確認できるようになりました。
運用開始後は、材料の取り違えミスゼロを実現しています。名称や容器が似ている材料についても、QRコードに登録された情報を基に判断できるため、経験だけに依存しない確認が可能になりました。
何重もの確認作業を減らし、時間を短縮
従来は、材料を選ぶたびに条件書と容器の表示を何度も見比べ、必要に応じて別の作業者にも確認を依頼していました。
QRコードによる照合へ切り替えたことで、確認作業が簡単になり、材料を準備するまでの時間を短縮できました。確認を依頼される作業者の手を止める機会も減っています。
作業者の精神的な負担を軽減
材料の選択を人の注意力だけに任せる場合、作業者には「間違えてはいけない」という緊張が常にかかります。
システムが正しい材料かどうかを照合することで、作業者は確信を持って次の作業へ進めるようになりました。ミスを防止するだけでなく、安心して作業できる環境づくりにもつながっています。
❝ 人が何回もチェックする事でミスを防止するのではなく、間違いに気づける仕組みで働く人を支援します ❝
まとめ
この事例では、既存システムから発行される条件書と、材料容器に貼り付けたQRコードを照合することで、材料の取り違えを使用前に防止する仕組みを構築しました。
大がかりなシステムを新たに導入するのではなく、既存システムにQRコードスキャナとラベルプリンタを組み合わせ、小さく運用を開始したことが特徴です。
材料の取り違えミスゼロを実現すると同時に、何重にも行っていた確認作業を減らし、確認時間と作業者の精神的負担を軽減しました。
現場で実際に使いながら作業者の意見を取り入れ、使いやすい仕組みへ段階的に改善していくことが、継続して活用されるDXにつながっています。

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