正しい条件でなければ加工させない。製造条件の自動照合システム

PLCとPCを連携した製造条件の自動照合システム

製造現場では、品種やロットごとに温度などの加工条件が異なります。正しい加工レシピを確認し、設備へ設定する作業を人の判断に頼ると、選択ミスや転記ミスを完全に防ぐことはできません。
T-SmartArunでは、現在加工中のロットに設定された標準条件と、実際の設備に設定されている値を自動照合する「製造条件照合システム」を構築しています。製造後に履歴を確認するのではなく、誤った条件による加工を製造中に防止する仕組みです。

この事例のポイント

  • 正しい製造条件でなければ加工させないポカヨケの仕組み
  • PCや設備など既存資産も活用しながらステップアップ
  • 製造後に確認する品質管理から、製造中に異常を防ぐ品質管理へ

改善前の課題

製造する品種やロットが切り替わるたびに、作業者は加工レシピを確認し、温度などの条件を設備へ設定します。確認と入力を人の作業に頼る場合、正しいレシピを選び間違えたり、数値を転記する際に入力を誤ったりする可能性があります。

また、従来のトレーサビリティは、製造後に記録を確認して異常の有無をさかのぼる方法が中心です。履歴から設定ミスを発見できても、その時点ではすでに誤った条件で加工が進んでいる可能性があります。

  • ロットに対応する加工レシピの選択間違い
  • 温度などの設定値の転記・入力ミス
  • 異常の発見が製造後になり、手直しや不良品につながるリスク
設備の設定内容を条件書と照合しながら確認する作業者

製造条件照合システムの仕組み

本システムでは、日報システム、加工レシピのデータベース、PC、設備側のシステムを連携させ、製造中のロットに対応する標準条件と、設備に設定されている実際の値を自動で照合します。

照合までの流れ

  • 日報システムから、現在加工中のロット情報を取得します。
  • 取得したロット情報をもとに、データベースから温度などの標準加工条件を読み出します。
  • システムが日報から取得した標準条件と、実際に設備へ設定されている値を照合します。
  • 条件が一致しない場合はエラーを出し、誤った条件による加工を未然に防止します。
  • エラーはアラームやログ記録だけでなく、間違っている状態では機械のスイッチが入らないなど、インターロック制御も可能です

製造後に確認する品質管理から、製造中に防ぐ品質管理へ

従来のトレーサビリティと本システムでは、異常を確認するタイミングが大きく異なります。

従来のトレーサビリティ

製造後に記録を確認し、設定値や加工履歴に異常がなかったかをさかのぼって調査します。異常を発見できても、すでに加工が進んでいる可能性があります。

本システムの品質管理

製造中に標準条件と設備の設定値をリアルタイムで照合します。条件が一致しない場合はエラーとし、誤った条件で加工することを未然に防止します。

正常に加工が進んでいること自体が、あらかじめ定められた製造条件が守られていることの確認にもなります。履歴を残すだけでなく、製造中の品質を守るためにデータを活用する仕組みです。

既存設備を活かしたスモールスタート

本システムでは、大規模な仕組みを新たに導入するのではなく、すでに現場で使用している日報システム、加工レシピのデータベース、PC、設備側のシステムを活用しています。

既存の仕組みをすべて入れ替えるのではなく、必要なデータ連携と照合機能を追加することで、導入範囲と費用を抑えながら、製造条件の自動照合とポカヨケを実現します。

活用する設備機器

  • 現在加工中のロットを管理する日報システム
  • 標準加工条件を登録したデータベース
  • 日報システムと制御機器を中継するPC
  • 状況を表示するためのモニターやアラートを出すための機器

まずは1工程・1設備・1テーマから導入し、運用を確認しながら対象を広げられる点も、中小製造業に適した構成です。

期待される効果

製造条件の確認と照合を自動化することで、次のような効果が期待できます。

誤った製造条件による加工を未然に防止

ロットに対応する標準条件と設備の設定値が一致しない場合にエラーを出し、設定ミスによる加工不良や手直し、廃棄のリスクを抑えます。

確認・転記作業の負担を軽減

紙や画面を見比べながら行っていた確認作業を自動化し、作業者の注意力に依存する工程とダブルチェックの負担を減らします。

製造中の品質保証を強化

製造後に履歴を確認するだけでなく、製造中に正しい条件が守られていることを継続的に確認できる仕組みへ変わります。

既存資産を活用して段階的に展開

既存のシステム、データベース、PCを活かし、対象となる工程や設備を限定して開始した後、効果を確認しながら展開できます。

今後の展開

まずは1工程・1設備を対象に、ロット情報の取得から加工条件の照合、エラー処理までの一連の動作を検証します。実際の運用方法や作業者の使いやすさも確認しながら、安定して利用できる仕組みへ仕上げていきます。

その後は、対象設備の追加や、温度以外の圧力・回転数・時間など、照合する条件の拡張も検討します。製造履歴や品質情報との連携を進めることで、工程全体のトレーサビリティ強化にもつなげられます。

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