受け継がれてきた属人化業務を会社の仕組みへ。ミスを減らす業務DX

「このExcelファイルを作った人は、もう社内にいない」「不具合が起きても、直せる人がいない」
長く続く企業では、このようなExcel業務が少なくありません。担当者が工夫を重ねて作ったファイルは、日々の業務を支える一方で、年月とともに仕組みが複雑になり、誰も手を加えられない状態になることがあります。
しかし、そのファイルには、長年培われてきた業務の手順や判断基準、現場の工夫が詰まっています。
今回の取り組みでは、Excelに蓄積された大切なノウハウを整理し、特定の人やファイルに頼らず、誰もが安心して使い続けられる業務システムへ移行しました。
改善前の課題
業務を支えていたExcelが、いつの間にか業務継続のリスクに
以前は、Excelやマクロに詳しい社員が、日々の業務を効率化するために独自のファイルを作成していました。市販のシステムでは対応しにくい細かな作業にも合わせられるため、長年にわたって重要な業務を支えてきました。
しかし、作成した社員の異動や退職によって、計算式やマクロの仕組みを理解している人がいなくなり、不具合が起きても直せない状態になっていました。業務内容が変わっても修正できず、不便な部分を手作業で補いながら使い続けることもあります。
また、誤って計算式を変更した、必要なデータを上書きした、ファイルを削除したといった操作ミスが、業務に大きな影響を与える可能性もありました。
複数の社員がファイルをコピーして使用すると、どれが最新なのか分からなくなります。共有フォルダに保存しても、同時に編集できない、ファイルが開いたままで使えないなど、情報共有にも課題が生じていました。
便利だったはずのExcelが、いつの間にか「誰も仕組みを把握できない」「壊れると業務が止まる」という、会社全体のリスクになっていたのです。

構築した仕組み
Excelに蓄積された業務ノウハウを、使い続けられるシステムへ
今回の取り組みでは、既存のExcelファイルをそのまま置き換えるのではなく、まず計算式やマクロ、入力項目、業務の流れを一つずつ確認しました。
長年使用されてきたファイルには、作成者や担当者が工夫してきた判断基準や処理方法が数多く組み込まれています。そこで、現在の担当者への聞き取りも行い、残すべき機能、見直すべき作業、現在は使われていない処理を整理しました。
整理した業務ルールをもとに、データを一元管理できる業務システムを構築しました。利用者は分かりやすい画面から必要な情報を入力・検索でき、計算や集計はシステムが自動的に行います。
複数の社員が同じデータを利用できるため、ファイルをコピーして受け渡す必要がなくなりました。また、誤って計算式や仕組みそのものを変更する心配もありません。利用者ごとに操作できる範囲を分け、データの記録やバックアップも行えるようにしました。
さらに、必要な部分はクラウドサービスとも連携し、既存の環境を活かしながら、業務の変化に合わせて段階的に機能を追加していくことも可能です。
Excelを作り直すだけではなく、業務そのものを見直す
既存のExcelファイルと同じ画面や操作を、そのまま新しいシステムに再現するだけでは、複雑になった仕組みまで引き継いでしまいます。
そこで、「なぜこの項目を入力するのか」「この計算結果を誰が何に使うのか」「例外が発生したときは、どのように判断しているのか」まで確認し、業務の流れそのものを見直しました。
担当者の経験だけに頼っていた判断や、口頭で引き継がれてきた作業も整理し、誰が担当しても同じ手順で処理できる形にしました。重複している入力や不要になった処理は減らし、本当に必要な情報と機能に絞っています。
大切なのは、Excelという道具を別のシステムへ変えることだけではありません。Excelの中に埋もれていた業務のルールやノウハウを見える形にし、必要な業務かどうかを棚卸して会社全体で共有できる仕組みへ変えることです。
システム化によって得られた効果
入力や集計にかかる時間を削減
必要な情報を決められた画面から入力し、計算や集計を自動化したことで、Excelファイルを開いて複数のシートを操作する手間が減りました。
同じ情報を何度も入力したり、別のファイルへ転記したりする作業も見直され、事務作業にかかる時間を削減できました。
特定の担当者に頼らない業務へ
操作方法と業務の流れを整理し、誰でも同じ手順で利用できる仕組みにしました。担当者が不在の場合でも、ほかの社員が業務を引き継ぎやすくなっています。
ファイルの仕組みを理解している一人の社員に問い合わせが集中することも減り、休暇の取得や担当変更にも対応しやすくなりました。
業務の変化に合わせて改善できる環境を整備
これまでのExcelファイルは、修正によってほかの計算やマクロに影響が出る可能性があり、簡単には手を加えられませんでした。
システム化によって処理やデータの構造が整理されたことで、業務内容の変更に合わせた機能追加や、ほかのサービスとの連携も検討しやすくなりました。

使用した機器・システム
今回の業務改善には、次の機器とシステムを使用しました。
- 業務用パソコン
- データを一元管理するデータベース
- 入力・検索・集計を行う業務システム
- 社内ネットワーク環境
- データのバックアップ機能
- 外部のクラウドサービスと連携する仕組み
既存のパソコンや社内環境をできる限り活用し、大がかりなシステムの導入を必要としない構成にしました。
すべてを一度に変更するのではなく、業務への影響を確認しながら段階的に移行できるようにしています。
まとめ
今回の取り組みでは、長年にわたって業務を支えてきたExcelファイルの計算式やマクロ、作業手順を整理し、データを一元管理できる業務システムへ移行しました。
システム化の過程では、Excelに蓄積されていた業務のルールや担当者の工夫を活かしながら、入力項目や情報の利用目的を一つずつ棚卸ししました。その中で、重複して入力していた情報、現在は使われていない項目、不要になった計算や集計を整理し、業務そのものの削減にもつなげています。
そのうえで、入力・計算・検索・集計の流れを見直したことで、操作ミスやデータの食い違いを減らし、事務作業をより分かりやすく効率的に行えるようになりました。
また、特定の担当者しか分からなかった業務を、誰もが同じ手順で行える仕組みにしたことで、担当者の不在や異動にも対応しやすくなりました。
長年使われてきたExcelには、その会社ならではの業務ノウハウが蓄積されています。その価値を失うことなく、本当に必要な業務を見極め、将来にわたって安心して使い続けられる会社の仕組みへ変えていくことが、今回の業務DXです。
❝受け継がれてきたExcelには、会社の知恵が詰まっています。その知恵を、誰か一人に頼るファイルから、みんなで使い続けられる仕組みへ。❞

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